感動の山口啓介展

高崎市美術館
高崎市美術館

高崎市美術館を友人たちと訪れたのは夏も過ぎようとしている2003年8月30日でした。


美術館はJR新幹線高崎駅から徒歩5分と近く便利なところにある。

 

山口啓介展のためにあるといった感じの美術館で、空気柱・光の回廊とサブタイトルが付けられていた。

 

彼の作品と出合ったのは渋谷松濤美術館で開催された現代日本の水彩表現展だった。

ここで「原子力発電所 6」の絵を見たときの感動は今も忘れられない。
あの絵を見て題名を見ると多くの人は自分が考えていた題名とほど遠い世界だったに違いない。
どうしてこのような題名が付けられたのか知るよしもないが、私はハッと記憶が蘇ってきた。
東海村原子力発電所の建設で約4年間茨城県で仕事をしてたからだ。
イメージの根源は全く異なっていると思われるが・・・
何かその時の印象は強いものだった。

 

 

山口啓介・原子力発電所 6
山口啓介・原子力発電所 6

 

山口啓介・原子力発電所 6

 

紙 水溶性絵具 272×360cm 1995年

渋谷区立松濤美術館 現代日本の水彩表現展(特別展2002-12-10~2003-1-26で購入したポスター)

東海村原子力発電所
東海村原子力発電所

 

東海村原子力発電所

 

原子炉の上部には無数の穴が開いている。(制御棒の挿入口) 昭和40年(1965)ごろの写真

 

展示の中で圧巻なのはカセットケース(11×7センチ)が1階から3階までの吹き抜けのガラス壁に約1万個ギッシリ並べられていることだ。

 

カセットケースには多種の植物の葉や実などが入っている。
外光でより一層美しく輝き、まさに光の回廊である。

ここ高崎市美術館でないと出来ない仕事だ。


これは地域社会の交流で完成したと聞いている。
実現できたことは素晴らしいことだ。

 

展示は次々と工夫され心おきなく鑑賞できた。
ただ普通とちょっと違ったのは作品の題名が作品の近くに貼っていない。
題名にとらわれず自由に鑑賞することを希望されたのであろう。

 

美術館で発売されていたカタログ
美術館で発売されていたカタログ

哲学堂の古い純日本の屋敷にも彼の作品が展示されていた。
ここでも何の違和感もなくその美しさに魅せられた。

 

彼の作品についてはカタログなどで紹介されている。


そちらに譲るとしても、そのスケールの大きさ、大胆にして繊細。

美的緊張感がありエネルギーが満ちあふれている。
感動の連続であった。

2003年の最高の展覧会だった。
もし近くで彼の展覧会が開催していましたら是非訪れて下さい。
きっと満足されるであろう。

 

(左)山口啓介展の立て看板

(中)高崎市美術館の裏手にある哲学堂・第2展示会場

(右)山口啓介さんから頂いたサイン